こんにちは! 愛知県一宮市の個人専門税理士の服部です。
個人事業を開業した方は、まず開業届出書を税務署に提出する必要があります。
ただ、「もう事業開始してから3年経つけど開業届出書なんて出したことないし、税務署から何も連絡ないから出さなくていいんじゃない?」と同業者に言われた人もいるかもしれませんね。
今回は、開業したら最初に提出すべき「開業届」について説明します。
開業届とは
個人事業主が提出すべき開業届のタイトルは、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。
→具体的な様式(抜粋)ではこんな感じです(国税庁HPより)。

ちなみに、この様式は開業のときも廃業のときも同じです。
この開業届は、個人事業を始めたということを税務署にお知らせするものです。
税務署もだれがいつどんな事業を始めたのか、いちいち調べることは難しいので、事業を始めた人が自ら国に報告するようにルールを定めているわけですね。
開業届の提出期限
開業届の提出期限は、
「個人事業を始めた年の所得税の確定申告期限まで」
となっています。
たとえば、令和8年10月1日に開業したとしたら、令和8年分の確定申告期限まで、ということですから、令和9年3月15日となります。
期限だけを考えれば、個人事業を始めてから最初の確定申告書と一緒に提出すればOKということですね。
ちなみに、少し前までは「開業してから1か月以内に提出」というルールになっていましたが、改正されまして、「確定申告期限まで」となりました。
開業年月日の記載を忘れずに
開業届には、開業した年月日を記載する欄があります。
意外にも、ここを記入し忘れている方が時々います。この開業年月日は、税務署のシステムに必ずデータ登録されますから、記入し忘れることのないようにしましょう。

私も税務署勤務時代に開業年月日不明の開業届を何枚も見かけました。電話で問い合わせをしていた記憶がありますね。
税務署からの電話対応をするのも面倒だと思いますので、初めから記載漏れがないようにしましょう。
提出しなくていいのか?
実は、この開業届を「提出していないけど?」と言う個人事業の方もしばしばおられます。
提出期限が確定申告期限まで、となっていることからも少しわかるのですが、税務署としては「結局、確定申告書を提出しているなら、開業届がなくてもまあOKかな」という気持ちがあるのですよね。
開業届の提出がないことについて罰則があるわけでもありません。
確定申告書にも職業欄はありますし、決算書から売上高が計上されはじめた月を把握できるケースもあります。
では、「提出するルールになっている」ということを抜きにして、「提出しなくていいのか?」と聞かれると、やっぱり「提出はしておくべき」です。
というのも、開業届は、税務署よりもむしろ金融機関や地方公共団体などが必要とするケースが多いからです。
事業資金のために金融機関から融資を受けようとするとき、開業届の写しの提出を求められることがあります。
また、ご家庭のある個人事業の方であれば、お子さんの学校入学や学童保育申込に際して、開業届の写しの提出を求められるケースもあります。
事業を何年も継続している場合には、確定申告書の写しのみで済むこともありますが、開業まもない場合には特に提出を求められることでしょう。
期限を過ぎたら提出できない?
開業届を提出していなかったのなら、期限を過ぎていても提出することはできます。
税務署から拒否されることはありませんから安心してください。
実際、私は勤務時代、金融機関に写しの提出を求められた個人事業主の方が、数年前の「開業年月日」を記載して開業届を提出する、というケースにしばしば出くわしました。
開業年月日と提出年月日にかなり差があることに違和感はあるわけですが、それはそれで処理がなされることとなります。
開業届は、税務署に対して「写しをください」と申し出る開示請求の対象とされることがかなり多かった印象です。
このことからも、金融機関その他第三者から写しの提出を求められるケースが多いことがうかがえますね。
まとめ
開業届は、仮に提出していなくても通常、税務署から催促の連絡などは来るものでありません。
しかし、提出していないことによって、事業主ご自身にとって不利・不便に感じるケースが多々あります。
きちんとルールにしたがって、個人事業を開業したら、まず開業届を税務署に提出するようにしましょう。
