お金を親の口座から子供の口座へ移し替えただけでは贈与税の対象にはならない

 こんにちは! 愛知県一宮市の個人専門税理士の服部です。

 資金を移動させると贈与税がかかる、というイメージは根強いです。しかし、大切なのは「贈与があったのかどうか」です。

目次

贈与はお互いの合意が必要

 贈与税は、AさんとBさんの間で「あげます」「もらいます」を合意する贈与契約があった場合に、その資産の移転を対象として課税するものです。

 この「あげます」「もらいます」のやりとりなく、たとえば親が子供名義の通帳に200万円を入金したとしても、その子供が「親からもらった」ということにはなりません。

 子供の名前が書かれた財布に親が自分のお金を入れただけです。

 贈与自体が発生していませんので、そもそも贈与税の課税対象にはなりません。

資金移動を監視されている?

 私は、日本人はなんだかんだ役所が好きなんだろうなと思っています。

 なにかあればまずは役所に相談する人が多いですよね。

 ところが、税金の話になると「金をとられる」みたいな感じで敵対視することがままあります。

 そして、銀行で口座間の資金移動をすると、なにか検知されて「贈与税がかかるぞ」と国から宣告されるのではないかと想像する人もいます。

 しかし、その想像するほどには日本は監視社会ではありません。

 少なくとも、銀行が税務署に一定額以上の資金移動を通知するような仕組みは、私が知る限りないです。

 もしかすると、20歳の若者が3億円の海外資金移動をさせると、銀行員が警察へ連絡することはあるかもしれません。何らかの犯罪に加担しているかも、ということです。

 しかし、税金を課税するという目的で、官民一体の監視ネットワークのようなものはないでしょう。

 贈与税は申告納税方式を採用しています。

 自分で申告して納税する、という課税方式です。

 税務署が一方的に贈与税の通知を出すわけではありません。

 確かに、国税局や税務署が必要に応じて預金調査をすることはあります。

 しかしそれは瞬時に把握されるような近未来的な手法では全然なく、現状のところは、3年前や5年前の預金履歴をさかのぼって、資金移動の形跡を追う程度のものにすぎないでしょう。

 しかも、資金移動があったからといって、「贈与」が成立しているかどうかはまったくわかりません。ただ、資金が移動している、という事実がわかるだけです。

 贈与があったかどうかは、結局、関係している本人たちに聞いてみるしかありません。

 よく「贈与とみなされてしまうのでしょうか?」という不安を吐露する方がおられます。

 贈与と「みなす」ということは、「本当は贈与じゃないんだけど、贈与ということにしてしまう」ということです。

 その「みなす」という認定は、それこそ税務署にとっては非常にハードルの高い作業でしょう。

 本人たちが「そうじゃない」と言っているのに、「いやいや、これは贈与にみえますから贈与に認定します!」と税務署が主張するのは、よほど確固たる証拠がなければ無理に等しいはずです。

 ということで、数百万円の資金移動をさせるとまもなく税務署から連絡がくるのでは、という不安をもつ必要はありません。

 もし、その資金移動が本当に「あげます」「もらいます」の合意のもとで行われていて、もらった人がその資金を管理して自由に引き出すことができるような状態におかれているのであれば、それは贈与税の申告をすればよいです。

 一方で、そのような合意がなく、子供名義の通帳に親がただ貯金をしたいだけであったり、一時的に資金移動をさせたいだけであるのであれば、贈与税を不安に思うことなく堂々と移動させればよいです。

 ただ、数年後に何らかのきっかけで税務署からそれらの資金移動について尋ねられる可能性は完全に否定はできません。

 「なぜこの資金移動をしたのか」を説明できるようにメモ書きなどで記録しておいたほうがより安心といえるでしょう。

まとめ

 贈与税が問題になるのは、そもそも「贈与」があったことが前提となります。

 親が子供名義の口座に資金を移動させたとしても、そこにお互いの「あげます」「もらいます」の契約がなければ贈与税の対象ではありません。

 また、資金移動を銀行が税務署に逐一通知するような仕組みはないと考えられますから、資金移動させること自体に余計な不安を抱える必要はありません。

 実際に「贈与」ということなのであれば、自主的に贈与税の申告をしていきましょう。

この記事を書いた人

 愛知県一宮市の個人専門税理士です。個人事業主の税務顧問、個人のスポット税務調査対応、住宅ローン控除や不動産の売却に関する確定申告、贈与税・相続税の申告など個人に税金に特化しています。

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