個人事業主の税務調査はいつになったらくるのか

 こんにちは! 愛知県一宮市の個人専門税理士の服部です。

 個人事業主のなかには、「開業して数年経つけど税務調査はいつくるんだろう?」と心配な人もいるようですね。

目次

税務調査にもいろいろある

 この「税務調査いつくる?」問題において、私が感じていることがあります。

 それは多くの人が「税務調査」という一括りで話をしていることです。

 税務調査といっても、法人の税務調査、個人の税務調査、相続税の税務調査などいろいろあります。

 税務署は各部署で縦割りの組織になっていますから、税務調査に対するさまざまな感覚も担当部署によって大きく異なります。

 私の認識になりますが、税務署が取扱う規模の法人の場合はおおむね10年前後のサイクルで税務調査が実施されるイメージです。

 法人経営を40年ほどしていて、一定規模の黒字を継続的に出している状況であれば、過去に3回の税務調査の経験があっても不思議ではありません。

 また、相続税の税務調査の場合は、被相続人が亡くなってから3年~4年ほどの間に税務調査が実施されることケースがほとんどです。

 相続税の申告書を提出してからちょうど4年が経過したという状況であれば、おそらく税務調査は実施されずに終わることでしょう。

 一方、個人事業主の税務調査は、そもそも個人事業主の母数がかなり多いために、税務調査が実施される割合自体はかなり小さいです。

 仮に税務調査を1度経験した場合には、もしかすると今後一生、税務調査がない可能性もあります。

 このように、「税務調査」という一括りで考えると、さまざまな話が入り込んで変に話が広がってしまいます。

 個人事業主の場合にしぼって話をしたほうがよいでしょう。

個人事業主の税務調査が実施されやすいケース

 最初に結論ですが、いつ税務調査があるのかには答えがあるわけではありません。

 ただ、個人事業主に対して税務調査がある可能性が高そうな時期をあえて言うとしたら、おそらく次のようになるでしょう。

開業して5年経過したとき

 個人事業主に対する税務調査は、通常、過去3年間分について実施されます。

 開業して5年経過した時期は、一般に事業として軌道に乗ってきた時期であり、一定程度の所得金額を継続して得ているような状況が多いです。

 一方で、会計処理については後回しにしがちで、書類の保存や記帳も適正にできていないケースが多いです。

 申告内容にそれほど不自然な点がなくても、行政指導の延長線のような感覚で、税務調査が実施されることがあるでしょう。

売上が右肩上がりのとき

 個人事業を継続していると、売上が右肩上がりの推移をたどることがあります。

 令和6年 1,500万円

 令和7年 2,100万円

 令和8年 2,800万円

 令和9年 3,500万円

 のような感じです。

 税務調査では、この右肩上がりの売上に対応するように、利益(所得)も右肩上がりになっているのかどうかを調査することがあります。

 また、事業が順調であることから、個人事業主が節税に関心をもつようになった結果、かなりグレーな税務処理を積極的に行っているケースも想定されます。

 関与税理士がいない場合には、個人事業主本人が仕事が忙しすぎて処理が雑になり、「わかんないけどとりあえず申告した」というような状態になっている可能性もあることでしょう。

 そういった想像がされることから、税務調査が実施される傾向があると言えるでしょう。

妻子持ちの個人事業主が45歳前後になったとき

 既に結婚もして子供もいる個人事業主は、家族を養うために一定程度の所得(利益)がないと家計が成り立ちません。

 一般に45歳という年齢は、仕事の技量も周囲とのコミュニケーションも成熟してきた時期であり、いわば「働き盛り」です。

 お子さんが中学生であったりして、学習塾などの習い事の教育費も支出が多くなってくる時期でもあります。

 この場合に、年間所得(利益)が一般の会社員の平均給与収入を大きく下回るような申告を継続しているときには、「45歳、働き盛りで子どももいるのに生活費はどのようにしているのだろう」と疑問に思われる可能性があります。

 このような時期には税務調査が実施される傾向があるといえるでしょう。

設備投資をして消費税の還付申告をしたとき

 数百万円する機械設備などを購入した場合、消費税の一般課税方式を採用して還付申告をするケースがあります。

 開業して10年以上経過していて、これまで一度も税務調査の経験がない個人事業主が消費税の還付申告をした場合、税務調査が実施されることがあります。

 主には消費税の還付申告の妥当性の確認が目的にはなりますが、それを切り口として通常どおり過去3年間の税務調査を行うイメージです。

 個人事業を継続してきていて、多額の設備投資を行うということは、事業拡大などを計画しているわけですから、事業としては成熟しつつあるでしょう。

 そんな状況で、過去に一度も税務調査が行われていなかったら、「ちょうどよいタイミングだし、税務調査をしてみようか」という話になる可能性は十分あるでしょう。

まとめ

 個人事業主に対する税務調査は、いつくるのかまったくわかりません。

 今回、私が考えるよくあるタイミングを書いてみました。

 開業し始めたときは「税務調査があったら…」と心配していても、毎年確定申告をしていて税務署から何も連絡がないことがわかってくると「税務署はあんまり見ていないようだから」と言って徐々に過度な節税などを行う人もいるように思います。

 しかし、事業を長期にわたり継続していれば、忘れた頃に税務調査は実施されることでしょう。

 「もしかすると来年来るかも…」。そのような心構えで日々税務処理を行うことが大切であるといえるでしょう。

 

この記事を書いた人

 愛知県一宮市の個人専門税理士です。個人事業主の税務顧問、個人のスポット税務調査対応、住宅ローン控除や不動産の売却に関する確定申告、贈与税・相続税の申告など個人に税金に特化しています。

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