こんにちは! 愛知県一宮市の個人専門税理士の服部です。
注文住宅によりマイホームを新築した場合の住宅ローン控除の確定申告では、しばしば「外構工事」の取扱いで悩むことがあります。
「家屋」は本来建物の本体だけをいう
住宅ローン控除における「家屋」とは、本来的には建物の本体のみを意味します。
住むことができる「家」というよりは、物理的に建てられている「箱」のイメージです。
ところが、たとえば建売住宅の場合には、通常、給水設備や電気設備など「引っ越せば今すぐにでも住める」状態で販売されています。
また、注文住宅であっても、間取りだけ考えてキッチンやお風呂を設置しないなんてことはないわけで、通常、家屋の設計・建築と同時に設備などの設置を行うものです。
つまり、「箱」のイメージではあるものの、住むために必要なさまざまな設備や構築物はおのずと家屋に付随してくるので、仕方なく付随設備などもひっくるめて「家屋」として取り扱うこととなります。
外構工事の業者は建物の建築業者と同じか?
注文住宅において、外構工事は最終段階に近いです。人によっては、入居後に外構工事を行うこともあることでしょう。
住宅ローン控除の「家屋の取得対価」にこの外構工事の費用を含めてよいのかどうか?
きわめて重要な条件があります。
それは、建物本体を建築する事業者と同じ事業者による工事かどうか、という点です。
具体的には、
①建築に際して契約したときの「建築工事請負契約書」の契約事業者(ハウスメーカーなど)
と
②外構工事をするときの「外構工事請負契約書」の契約事業者(○○工業㈱など)
が同じであることです。
この2者が同一であれば、「外構も建物本体と一緒に取得したんですね」というふうに考えるということです。
この条件が満たせないと外構工事費用を「家屋の取得対価」に含めることはまずできません。
むしろ、現実には外構工事だけの契約書が存在する場合には、それは建物の建築業者とは異なるケースであることが多いのかもしれませんね。
金額による基準があるが…
国税庁HPには、「門や塀等の取得対価の額」というタイトルで質疑応答事例が掲載されています。
そのなかには、同一業者によるもので、「取得等の対価の額が僅少と認められる場合」には、「家屋の取得対価」に含めてかまわない、と記載されています。
この「僅少と認められる場合」として、外構工事の費用が全体(土地以外)の価格の10%未満であるような場合をいう、としています。
たとえば、
建物本体…3,000万円
外構工事…300万円
合計…3,300万円
であれば、外構工事の費用の割合は、
300/3300=9.1% であり、10%未満ですから、この外構工事の費用は「家屋の取得対価」に含めてもかまわない、ということになります。
もし、この計算をして10%以上となる場合には、「それは家屋に付随したものではなくて、家屋から独立したものですよね」と考えることとなります。
とはいうものの、国税庁HPにも前置きとして、
「僅少と認められるかどうかは、家屋そのものの取得等の対価の額の多寡にもよるので一概にはいえないものの、…」
との記載があります。
したがって、この10%未満というのは、ある意味、目安となる基準を示したものであって、たとえば計算したら10.3%だったからといって、即座にNGになるかというとおそらくそんなことにはならないだろうと考えられます。
あくまで「家屋に含めて遜色ないよね、付随費用だよね」というものであればわずかな振れ幅は許容される可能性もあります。
金額で悩んだら申告してみるのも
私は元税務職員で確定申告会場にもよくいっていましたが、この「外構工事を家屋に含めてよいのか」という質問は非常に多かったです。
まず、契約業者が建物本体と一緒かどうかを確認して、もし異なっていれば即NGです。これは明確でわかりやすいルールです。
しかし一方で、10%未満かどうかは、質問をされればその場で計算して10%未満基準であればNGとしていましたが、
では、本人が事前相談なしに外構工事の費用を家屋の取得対価に含めて確定申告をした場合に、税務署がすべて計算して10%未満かどうかを判定して、基準を満たしていなければすべて修正しているのかどうかは少々疑問です。
また、10%以上の割合となったところで、最終的な税額に変動が生じないケースもかなり多いものです。
10%以上の割合となる場合に家屋の取得対価に含めて確定申告をすること自体は税務署が妨げることはできません。
悩んで先に進めなくなるよりかは、一定程度のリスクを認識したうえで、自己責任においてとりあえず家屋の取得対価に含めて確定申告書を提出してみるという手ももしかするとありかもしれません。
まとめ
外構工事の費用は、原則としては「家屋の取得対価」には含められません。
ただし、建物本体の建築業者と同一の業者による工事である場合には、その外構工事の費用の割合が全体の10%未満であるときには「家屋の取得対価」に含めてもかまわないこととされています。
ご自身でよく検討して納得したうえで確定申告をすることが大切だといえるでしょう。
【参考:国税庁HP】
